学ぶ

植物が受け取るものは、すべて土を通ってくる。

こちらは詳しい版です。有機物が地下で実際に何をしているのか。養分が足りているはずの土がなぜ育たないのか。土壌診断に見えるものと、見えないもの。そして最後に、BioBenefitsがその全体像のどこに位置し、何を主張しないと決めているかまで。

垂直に切り出された土壌断面。最上部は褐色の落ち葉と松葉がゆるく積もったリター層。その下に、手のひらほどの厚さの黒く砕けやすい表土。さらに下はより明るいオレンジがかった褐色の下層土、最下部は砂・礫・石からなる淡く粗い層。細く白っぽい根が、すべての層を貫いて垂れ下がっている。
切り開いた土壌断面。リター、黒い表土、下層土、そしてそのすべてを支える風化した粗い基層。根は四層すべてを貫いています。このページのほとんどは、二層目で起きていることについて、そしてその層が黒い理由についての話です。

第一原則

腐植は、植物の栄養ではありません。植物を養う仕組みのほうです。

このサイトから一つだけ持ち帰るなら、これを。

「腐植は土に良い」。園芸の世界でこれほど繰り返され、これほど説明されないままの言葉もありません。ですから、ここで正確に整理しておきます。

腐植は、窒素肥料やリン酸肥料のような栄養源ではありません。植物が大量に吸収するものではないのです。腐植が担っているのは、養分が使える状態になり、その場に留まり、めぐり続けるための条件を整えることです。

肥料が食事だとすれば、腐植は消化器官と血液循環システム。その食事のどれだけが植物に届くかを決めているのは、こちらのほうです。

この区別は、商売の上でも効いてきます。土壌診断では養分が足りているのに作物が育たない、という事態が起きるのはこのためです。そして、施肥を厚くしてもたいてい解決しない理由でもあります。制約になっているのが、養分が根圏を素通りして流亡していることや、土が締め固まって根が届かないことや、養分をめぐらせる生きものが地下にいないことであれば、すでに足りているものを増やしたところで、変わるのは資材費だけです。

科学

腐植が土のなかで担う三つの仕事

どれも華やかではありません。どれもがその年の出来を決めます。

1

化学的なスポンジ

腐植物質はカルボキシル基(–COOH)とフェノール性水酸基(–OH)を大量に持ち、これらは土壌pHで負電荷を帯びます。そのため陽イオン、すなわちカリウム(K+)、カルシウム(Ca2+)、マグネシウム(Mg2+)、アンモニウム(NH4+)を引きつけ、保持します。

これが陽イオン交換容量(CEC)です。砂質土はCECが低いため、養分はそのまま流亡していきます。有機物が増えればCECが上がり、与えたものを土が抱えられるようになります。

要になるのは「保持」という語です。これらの陽イオンは閉じ込められているわけではありません。交換座に着いていて、根が土壌溶液を吸い下げれば、入れ替わりに溶液へ出ていきます。金庫ではなく、スポンジです。

2

構造をつくる接着剤

腐植は粘土粒子、微生物、菌糸を結びつけて団粒をつくります。良い土で目に見え、手で触れられる、あの粒です。

団粒のできた土では、一見矛盾する性質が両立します。水はけが良く、しかも保水力が高く、そのうえ空気も通る。土が締め固まっていたり酸欠だったりすれば、養分の保持力だけでは作物は育ちません。

この二つは違うスケールで起きています。水は団粒の内側、重力に抗えるほど細かい孔隙に保たれます。余分な水と空気は団粒と団粒のあいだ、粒どうしが噛み合ったときに残る大きな隙間を通ります。

3

住処

細菌、放線菌、菌根菌、糸状菌にとって、腐植は住処であり、エネルギー源であり、同時に緩衝材でもあります。

だからこそ、腐植は土壌生態系のインフラだと言えます。生きものが消費するものではなく、生きものが載っている土台のほうです。

しかも関係は双方向です。菌糸や微生物が出す粘着物質もまた団粒をつなぎとめる要素であり、住処は住人自身の手でも組み立てられています。生きものを失えば、構造もあとから崩れていきます。

両手いっぱいの黒い庭土が丸みのある団粒に崩れ、粒と粒のあいだに孔隙が見え、細く白っぽい根が縫うように通っている。
団粒を近くで見る。丸みのある粒と、そのあいだの空気の隙間。有機物、菌糸、細根がこれをつなぎとめています。土が水を通しながら同時に水を保てるのは、この構造のおかげです。

考え方の変化

現代の土壌科学は、矢印を引き直しました。

古い図式では、腐植から植物へ矢印がまっすぐ伸びていました。現在の理解では、その矢印は土を迂回せず、土を通ります。この一点の違いこそが、「有機物が何%あるか」よりも「それが何をしているか」のほうが有用な問いになる理由です。

古い考え方

腐植 植物

腐植が植物を養う。増やせば、そのぶん植物に届く。

現在の考え方

腐植
  • 土壌構造
  • 微生物相
  • 養分循環
植物

腐植は、植物を養う仕組みそのものをつくり、維持する。植物へ至る経路は、すべて土を通る。

実務上の帰結として、有機物は投入量に応じて素早く効く資材ではなく、遅く、間接的で、複利で効いてくる資材だということになります。先ほどの三つの仕事が互いに代替できない理由も、ここにあります。交換座は豊富でも構造のない土は、やはり水に溺れます。美しい団粒があっても生きもののいない土は、やはり止まります。

実際のところ

土壌診断に見えるもの、見えないもの

園芸家や生産者が実際に感じ取っているのは、診断票の数字ではまずありません。団粒であり、水持ちであり、フォークを入れたときの手ごたえです。

土壌診断は化学的な棚卸しであり、しかも優れたものです。ただ、その土がどう振る舞うかを教えるようには、そもそもつくられていません。

一般的な診断が報告する項目

  • pH。多くの場合、石灰施用量を導くための緩衝pHも
  • 可給態のリン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄、微量要素。Mehlich-3、Bray、Olsenなど、その地域の土壌に合わせて選ばれた試薬で抽出した値
  • 陽イオン交換容量。直接測定するのではなく、それらの陽イオンを合計して算出するのが通常
  • 有機物の含有率。通常は強熱減量法による
  • 可溶性塩類。電気伝導度として

報告されない項目

  • 水が浸み込んでいくのか、地表に溜まるのか
  • 起こしたときに団粒に崩れるのか、板状に持ち上がるのか
  • 根が横へ曲がるまでに、どこまで深く入れるのか
  • 生物性の検査を別途依頼しない限り、生きものがどれだけいて、どれだけ活動しているか
  • 春にどれだけ早く地温が上がって乾くのか、雨のあと何日耕せる状態が続くのか

抽出試薬は代理指標であって、根が受け取る量の測定ではない

Mehlich-3のような試薬が使われるようになったのは、膨大な圃場試験を通じて、振とうした試料から抽出される量が作物の吸収量とよく相関することが分かったからです。この相関は実在しますし、持っておく価値もあります。それでも、相関は相関です。根が働いているのは、試験管よりもはるかに狭く、湿っていて、混み合った空間であり、時間の単位は分ではなく月であり、しかもその根圏の化学性は根自身がある程度つくり出したものです。

「有機物%」だけでは目標として弱い理由

誰もが引き合いに出す数字ですが、単独で持っている情報は、思われているより少ないのです。

これはストックであって、フローではありません。どちらも3%と出た二つの土が、その炭素がどこにあるかによってまったく違う振る舞いをします。新しい粗大な有機物残渣は、今まさに分解が進み、今の生きものを養っています。鉱物表面に結びついた古い有機物ははるかに安定していて、水と陽イオンをよく保持し、ほとんど放出しません。含有率は、この二つを区別しません。

動きが遅い。通常の管理下では、年ごとの変化は、採土やラボに由来するばらつきに比べて小さいものです。1年分の差は、しばしばノイズです。有機物%は10年単位の指標であり、それを1シーズン単位の成績表として使っていることになります。

強熱減量法はきれいな方法ではありません。加熱は粘土鉱物が抱えている水も飛ばすため、粘土質の土は高めに出ます。ラボは回帰式で補正しますが、その式はラボごとに違います。あるラボの数字と別のラボの数字を並べても、同じものを比べていることにはなりません。

同じ%でも、土性が違えば仕事が違います。砂質土では、陽イオン交換容量の大部分と、根が使える張力域の保水量の大部分を、有機物が担っているかもしれません。重粘土ではその両方をすでに鉱物画分が供給していて、有機物の最大の貢献は構造のほう、つまり土を開いた状態に保つことです。

といっても、土壌診断が無意味だという話ではありません。測ってください。そして測り続けてください。ただし、それが何であるかを踏まえて読むこと。あれは食料庫の在庫表です。その食事が消化されているかどうかまでは、教えてくれません。

私たちのアプローチ

多くの腐植資材は、腐植そのものを届けます。私たちは、そのなかを動いているものを見ました。

BioBenefitsについて理解していただきたい技術的な違いは、これひとつです。しかもそれは、製法だけの違いではなく、発想の違いです。

一般的な腐植資材

一般的な腐植資材:一方通行の流れ 垂直の直線に5つの通過点が並び、最後は塗りつぶされた終端ブロックで止まる図。レオナルダイトなどの腐植の堆積層、採掘、乾燥・粉砕、アルカリ抽出、そしてフミン酸製品。出発点へ戻る流れはない。 腐植の堆積層 レオナルダイト 採掘 乾燥・粉砕 アルカリ抽出 フミン酸製品

線はそこで終わります。堆積層は、取り出せば減っていく有限のものです。

発想: 腐植を見つけ、そのなかから特定の成分を取り出す。

BioBenefits

BioBenefits:まわり続ける循環から取り出す画分 腐植循環の5つの段階、すなわち落葉、微生物・菌類、腐植、水溶性画分、根圏を時計回りにめぐり、再び落葉へ戻る閉じた輪の図。水溶性画分の段階から枝分かれした線がBioBenefitsへ伸びるが、輪そのものはまわり続けている。 腐植の 循環 落葉 微生物・菌類 腐植 水溶性画分 実際に動いている部分 根圏 BioBenefits

輪はまわり続けます。私たちは、みずから更新される循環から汲み取っています。

発想: 腐植循環のなかで、実際に動いている部分に着目する。

「動いている」とはどういうことか

森の地表面では、何ひとつ止まっていません。有機物は絶えず分解され、つくり直され、水に溶け、下へ下へと根に向かって運ばれていきます。水溶性画分とは、その循環のうち移動していく部分のことです。

BioBenefitsが汲み取っているのは、この段階です。堆積した腐植ではなく、移動の途中にある画分。原料は自然発酵させた杉(スギ)・ヒノキ由来の有機物で、アルカリではなく水で抽出しています。分類は液体土壌改良材であり、肥料ではありません。植物の栄養剤としても販売していません。

「フミン(humic)」という言葉について

「フミン酸」は分子の名前ではなく、操作上の定義です。土壌有機物のうち、アルカリで処理すると溶け、およそpH 2まで酸性にすると再び溶液から出てくる画分を指します。「フルボ酸」は、そのまま溶けたままでいる部分を指します。どちらも、単離に用いた抽出手順によって定義された区分です。

アルカリが使われるのは、よく溶けるからです。水が溶かす量は、それよりずっと少ない。しかし水が溶かすものは、定義上、土が実際に置かれているpHに近い条件で、すでに動いていた部分です。私たちが関心を持ったのは、まさにその画分でした。

図:森林の地表面の断面。杉とヒノキの幹が立ち、その下に落葉が積もった層。さらに下に暗い腐植層。その下の土のなかを、溶けた有機物の粒が枝分かれする根の脇を通り抜けながら下へ移動していく。
断面で見た森の地表面。上からリター、その下の腐植層、そして土壌断面を下って根圏へ向かう水溶性画分。BioBenefitsが汲み取っているのは、この下降の途中の段階です。

線引きについて

私たちが主張しないこと

申し上げない三つのこと

これは森林土壌である、とは言いません。森林土壌には数千から数万種の有機分子、微生物代謝物、酵素、微量有機酸、そして生きた微生物が含まれています。その全体像はまだ分析し尽くされていません。ですから、それをボトルに詰めたと正直に言える者はいません。BioBenefitsは森林土壌の再現ではありませんし、そう説明することもしません。あの仕組みへの理解から生まれた製品です。

施肥の代わりになる、とは言いません。これは液体土壌改良材です。養分が保持され、放出され、根に届くまでの条件に働きかけるものです。土が本当にある養分を欠いているなら、それは欠けたままです。

日本の土は特別だ、とは言いません。日本の土壌が違うとも、優れているとも、化学的に固有だとも主張していません。私たちが言っているのは、一つの景観を何百年も手入れし続けると、どこを見ればよいかが分かるようになる、ということです。

もうひとつあります。数字です。性能を示す数値は、その裏づけとなるデータと一緒に出すべきものなので、このページには一切載せていません。[LEARN-01] ここに引用できる試験データ・圃場データがあれば記載する — 試験地、作物、年数、方法、測定項目。それまではこの段落を現状のまま維持する。

線の向こうまで売り込むより、線がどこにあるかをお伝えするほうを選びます。

次に読む

では、このうちどれが、あなたの課題でしょうか。

レイズドベッド1台、100エーカー、店の棚、生産ライン。同じ土の問いに、まったく違う規模で向き合うことになります。ご自身のところから始めてください。